多層シートの真空成形でデザイン性向上を実現

皆様は、多層シートを活用した真空成形をご存知でしょうか。一般的にあまり浸透していませんが、多層シートを活用することで、真空成形品のデザイン性を向上できます。当記事ではそんな真空成形における多層シート素材についてご紹介します。

真空成形における多層シート素材とは?

多層シートは、異なる樹脂素材を積層することで、単一素材では実現できない多様な機能と美しい外観を両立させます。特に、デザイン性が重視される製品において重宝されています。

この多層シートは主に2層または3層で構成されます。あくまで一例ですが、下記のような層構成となります。

1層目:アクリル

アクリルはその優れた透明性と高い光沢により、シートの意匠性を決定づける重要な役割を担います。また、耐候性に優れるため、屋外での使用を可能とします。

2層目:透明ABS or アクリル(※3層の場合のみ)

この層は、シート全体の透明性や奥行き感やメタリック調を際立たせる役割を果たします。

メイン層:ABS

ABSは優れた耐衝撃性を持ち、シート全体の確かな強度を担保します。

多層シートの真空成形でデザイン性向上を実現できる!

このような多層シートを活用することで、通常の単層シートでは表現できないような深みのある色彩や、メタリックな質感、高輝度など大幅なデザイン性向上が期待できます。また、表面層にアクリルを用いているため、デザイン性を兼ね備えた上で、屋外仕様もできるというメリットがあります。

多層シートの真空成形における注意点

ただし、実際に活用するにあたっては、注意点があります。まずは、通常の単層シートよりも成形が難しいということです。光沢やメタリック感が強い故に、ドラッグライン・シワが目立つため、製品不良率が高くなる傾向にあります。また、メタリック素材は黒点が素材に混入しているリスクもあるため、異物混入にシビアな用途では、避けた方がよいといえます。

加えて、多層シートは基本的に素材メーカーによる受注生産であるため、まとまった量の購入が必要となります。つまり、少量生産には不向きといえます。また、当然のことながら、通常の単層シートと比較すると、素材コストも高価となります。

多層シートの真空成形の加工例をご紹介

輸送機器用カバー(ABS 真空成形品)

こちらは、材質ABSの真空成形加工品です。当製品には、3層ABSシートが使用されており、塗装の必要が無い美しいメタリックレッドです。

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多層シートの真空成形も、三栄プラテックにお任せください!

いかがでしたでしょうか。今回は多層シートの真空成形品について詳しくご紹介しました。三栄プラテックでは、真空成形・圧空成形・熱プレス成形・曲げ加工・フリーブロー成形から切削・溶接・組立まで一貫して対応しております。シート成形のことなら、当社にお任せください。

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