
真空成形の成形不良対策:傷
真空成形は、熱で軟化させたシート状のプラスチックを成形型に密着させて成形する、自由度の高い加工方法です。しかし、その過程で「傷」と呼ばれる成形不良が発生することがあります。本記事で...
真空成形は、熱で軟化させたシート状のプラスチックを成形型に密着させて成形する、自由度の高い加工方法です。しかし、その過程で「傷」と呼ばれる成形不良が発生することがあります。本記事では、真空成形における傷の原因と、その具体的な対策について詳しく解説します。

傷とは、その名の通り、意匠面に擦り傷などが発生している不良を指します。成形品の外観品質を損なう不良の一つですが、型痕やショックラインのように工法や成形型の特性に起因するものとは異なり、細かな注意によって防ぐことができる不良である点が特徴です。
似た不良として「ゴミ痕」がありますが、ゴミ痕が成形型と樹脂の間に挟まったホコリ・ゴミによって生じる凹凸痕であるのに対し、傷は素材や製品が何かに接触することで生じる線状の擦り痕です。発生する工程も異なるため、原因の切り分けが重要となります。
なお、薄肉で光沢のある素材や透明素材は、わずかな傷でも光の反射によって目立ちやすくなります。真空成形において透明素材が推奨されにくい理由の一つも、こうした外観品質のリスクにあります。
傷は、成形中もしくは成形後の工程で何かと接触することにより発生します。また、そもそも成形前の材料の段階で傷が入っているケースも少なくありません。
真空成形に使用するプラスチックシートは、入荷・保管・裁断の各段階で表面がこすれ、傷が入ることがあります。特に、シートを重ねた状態でスライドさせたり、切粉やホコリが付着したまま重ね置きしたりすると、材料の時点で傷が入ってしまいます。
材料のセット時や成形型との接触、成形品の取り出し時など、成形工程には意匠面が何かに触れる場面が数多くあります。特に、成形直後の製品は樹脂が十分に固化しておらず、軽い接触でも傷が入りやすい状態にあります。
真空成形では、成形後にNCルーターを用いたトリミング加工を行います。この際、治具の受け面に切粉が残っていたり、製品を治具上でスライドさせたりすると、意匠面に傷が入ります。また、バリ取り・検査・組立・梱包・搬送といった各工程でも、製品同士を直接重ねる、緩衝材を挟まずに輸送するといった取り扱いによって傷が発生します。
傷は、一度発生すると成形後に完全に取り除くことは容易ではありません。そのため、「目立ちにくくする設計」と「そもそも傷をつけない工程管理」の両面から対策を講じることが重要です。
外観品質が重視される製品では、シボ模様を大きめ・深めに設定することで、細かな傷を目立ちにくくすることができます。真空成形では、元々シボが付いたシートを使用することで意匠面にシボ模様を表現できるため、金型費をかけずに対応できる点も大きなメリットです。
色の選定も有効な対策です。黒などの濃色や透明素材は光の反射によって傷が目立ちやすい一方、明るめの色を採用することで傷の視認性を大きく下げることができます。
最も基本的かつ効果的な対策が、成形前の材料チェックです。材料の段階で入っていた傷は、成形後にそのまま製品の傷として残ります。成形に着手する前に意匠面の状態を確認する工程を組み込むだけでも、不良の流出は大きく減らせます。
成形工程・後工程を通じて、意匠面が他のものと直接触れないようにすることが重要です。製品同士の間に紙や養生フィルムを挟む、作業台へ緩衝材を設置する、治具の受け面に緩衝材を貼る、製品はスライドさせずに持ち上げて置く、といった基本動作の徹底が、現場での傷を大きく減らします。
ちなみに、量産の場合には、耐熱フィルムを貼った樹脂シート(シボ無し)など特注材料も存在します。この材料を用いている場合には、耐熱フィルムを貼った状態で成形を行うため、傷の発生を根本的にカバーすることが可能です。
三栄プラテックでは、真空成形・圧空成形から熱プレス成形・R曲げ加工まで幅広く対応しております。外観品質が求められる製品についても、素材・シボ・色の選定から工程管理に至るまで、これまでの実績に基づいたご提案が可能です。お客様のご要望に合わせて最適な工法をご提案することも得意としておりますので、工法選定や成形不良でお困りの際は、是非三栄プラテックにご相談ください。