真空成形の成形不良対策:型痕

真空成形は、熱で軟化させたシート状のプラスチックを金型に密着させて成形する、自由度の高い加工方法です。しかし、その過程で「型痕」と呼ばれる成形不良が発生することがあります。本記事では、真空成形における型痕の原因と、その具体的な対策について詳しく解説します。

真空成形における型痕とは?

型痕とは、成形型表面の異常が成形品に転写されて意匠面からもわかる不良を指します。外観品質を大きく損ねるため、型痕の防止は真空成形の最大の課題ともいえます。

型痕が発生する原因

型痕の発生は、主に成形型に依存します。また、使用する型材質によってその影響範囲は大きく異なります。(※凸型の場合)

木型の場合

木型は試作や少量生産で使用されますが、木目が製品へ転写されることがあります。また、使用を重ねることで、表面の傷・欠け・摩耗も転写されやすくなります。

ケミカルウッド型の場合

ケミカルウッドは真空成形で最も多く使用される型材ですが、材料厚みは一般的に100mm程度までです。そのため、高さのある型では複数枚を積層して製作します。ショット数が増えると、接着面が痩せ、わずかな段差が発生することがあり、その積層部分が型痕として製品へ現れる場合があります。

樹脂型

樹脂型も長期間使用すると、表面が膨れたり、微細な変形が起こることがあります。膨れた箇所を補修しても、完全に元通りにすることは難しく、補修跡が型痕として転写されるケースがあります。

金型

ショット数が多い量産では、アルミ型などの金型が最も安定します。初期費用は高くなりますが、外観品質を重視する製品では金型を選択するケースが多くあり、最も型痕が発生しづらいといえます。

型痕を防ぐための具体的な対策

型痕は、一度発生すると成形型の異常がそのまま製品へ転写され続けるため、成形後に完全に改善することは容易ではありません。そのため、型の選定・設計段階から対策を講じることが最も重要です。

型の特性を考慮して使用する

型痕を防ぐためには、型の特性を考慮して正しい使い方を行うことが重要です。例えば、ケミカルウッド型は20ショットまでしか使わなければ、型痕が転写するリスクは大きく低減できます。樹脂型は、耐候性に劣るため経年劣化が激しいです。そのため、長期間の使用は避け、基本的には短期生産に活用することが大事です。

型の状態を定期的に確認する

木型の摩耗や傷、ケミカルウッド型の積層部の痩せ、樹脂型の膨れや補修跡は、そのまま製品へ転写されて型痕の原因となります。型は消耗品であるため、定期的に表面状態を点検し、異常が見られた場合は早めに補修や更新を行うことで、不良の発生を抑えることができます。(※ただし、補修の場合には修正痕が残るケースが多いため、根本的な対策にはなりえません。)

シボ加工が施された素材や色が明るい素材を採用する

外観品質が重視される製品では、シボ加工を採用することで細かな型痕を目立ちにくくすることができます。また、シボのみならず、色が明るい素材も型痕を目立ちにくくする効果があります。製品の用途に応じて、外観品質と成形性のバランスを考慮した設計を行うことが、型痕対策につながります。

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