
なぜ制電グレードの樹脂は曲げ加工で曇るのか?対策方法を解説!
静電気対策が求められる装置カバーや検査治具などでは、「制電グレード(帯電防止グレード)」の樹脂シートが採用されます。しかし、この制電グレードの樹脂素材は、曲げ加工を行うと加工部が白...
静電気対策が求められる装置カバーや検査治具などでは、「制電グレード(帯電防止グレード)」の樹脂シートが採用されます。しかし、この制電グレードの樹脂素材は、曲げ加工を行うと加工部が白く曇ってしまうことがあります。本記事では、制電グレードの樹脂における曲げ加工時の曇りについて、その原因と素材別の傾向、そして具体的な対策を詳しく解説します。
制電グレードとは、樹脂に帯電防止性能を付与したグレードを指します。樹脂は本来、電気を通しにくく静電気を帯びやすい素材です。そのため、そのまま使用するとホコリを吸着したり、静電気放電によって電子部品へ悪影響を与えたりする恐れがあります。
こうした課題を解決するために用いられるのが制電グレードであり、電子部品を扱う装置のカバーやパネル、クリーンルーム内で使用される部材、搬送用の治具などで広く採用されています。
制電グレードの樹脂板を曲げ加工すると、加熱部全体に、白くもやがかかったような曇りが発生することがあります。中が見える状態であることを前提としたカバーや窓部において、加熱部が白濁してしまうと、外観品質はもちろん、視認性という機能面でも製品として成り立たなくなるケースがあります。
制電グレードの樹脂は、一般的に樹脂へ帯電防止コーティングを行うことで性能を発揮しています。曲げ加工では、樹脂を軟化させるために局所的な加熱を行います。この加熱により、表面へのコーティング部が熱変質(劣化)し、加熱された部分だけが白く曇った状態になると考えられます。つまり、曇りは加工の失敗というよりも、制電グレードという素材が持つ特性に起因する現象といえます。
同じ制電グレードであっても、素材によって曇りの発生しやすさは大きく異なります。
曲げ加工により曇りが発生しやすい素材です。全体的にムラなく曇ります。
制電ポリカと同様に、曲げ部の曇りが発生しやすい素材です。ただし、ポリカと比較すると、曇りにムラがあります。
制電アクリルと殆ど同様で曇りが発生しやすいです。ポリカと比較すると、曇りにムラがあります。厚み・形状によっては、曇りを抑えられる場合もあります。
これら3素材については、透明性が求められる製品において曲げ加工を行うと、外観品質・機能の両面で問題となる可能性が高いです。
一方、制電塩ビは、加工条件次第では曇らせずに曲げられるケースがあります。制電グレードで曲げ加工が必要な場合には、有力な選択肢となります。
最も確実な対策は、そもそも曲げ加工を行わない構造で設計することです。1枚の板を曲げてコーナーを作るのではなく、平板を分割し、接着や溶接、締結によって組み立てる構造とすれば、加熱による曇りは発生しません。
透明性が製品の必須要件であり、かつ制電ポリカ・制電アクリル・制電PETを使用せざるを得ない場合には、この方法をまず検討することをおすすめします。
制電性能と透明性、そして曲げ形状のすべてが求められる場合には、制電塩ビへの変更が有効な選択肢となります。使用環境や要求される耐熱性・強度と併せて、素材の再検討を行いましょう。
また、曲げ部が意匠面や視認部から外れる設計であれば、多少の曇りを許容できる場合もあります。「どこに透明性が必要か」を整理することで、選択肢は広がります。
曇りの発生は加熱の与え方に大きく左右されるため、加工条件の最適化によって影響を抑えられる場合もあります。これは素材ごとの特性を踏まえた加工ノウハウが必要となる領域です。素材を変更できない、構造も変更できないといったケースでは、加工業者へ早い段階で相談することが有効です。
ただし、ポリカーボネートとアクリルについては加工条件をいくら最適化しても、曇りが発生する可能性が非常に高いので、素材検討をお勧めします。
三栄プラテックでは、R曲げ加工をはじめ、真空成形・圧空成形・熱プレス成形、さらには接着・溶接による組立まで一貫して対応しております。そのため、「曲げるべきか、分割して組み立てるべきか」といった構造の検討段階からご提案が可能です。
また、制電グレードの素材についても加工実績を有しており、素材や条件によっては曇りを抑えた曲げ加工を実現できるケースもございます。制電グレードの加工でお困りの際は、是非三栄プラテックにご相談ください。