
樹脂の円筒タンクでは、塩ビ・アクリルのどちらを採用すべき?
樹脂製の円筒タンクは、薬液貯蔵や実験装置、水処理設備など、幅広い分野で使われています。そんな円筒タンクには主に「塩ビ(PVC)」や「アクリル(PMMA)」といった材質でが活用されて...
樹脂製の円筒タンクは、薬液貯蔵や実験装置、水処理設備など、幅広い分野で使われています。そんな円筒タンクには主に「塩ビ(PVC)」や「アクリル(PMMA)」といった材質でが活用されています。しかしながら、これらの材質は大きく特性が異なります。本記事では、用途に合わせてどちらを選ぶべきか判断できるよう、それぞれのメリット・デメリットや接合方法を詳しく解説します。
前述の通り、樹脂の円筒タンクで広く採用されるのが 塩ビ(PVC) と アクリル(PMMA) の2種類です。どちらも樹脂でありながら、それぞれに優れた特徴があり、用途や求める性能に応じて使い分けられています。ここでは、両材質の特性や加工性の違いを詳しく見ていきます。

塩ビ(PVC)タンクのメリット・デメリット・接合手順を以下に記述します。
アクリル(PMMA)タンクのメリット・デメリット・接合手順を以下に記述します。
なお、重合接着では、1箇所ずつ接合することしかできないため、2~8を繰り返し実施します。
(※三栄プラテックでは、重合接着剤を入手できなくなったため、重合接着へ対応しておりません。)
| 項目 | 塩ビ(PVC)タンク | アクリル(PMMA)タンク |
| 透明度 | やや青みがあり透明度は低い | 樹脂素材トップクラスの透明度 |
| 外観品質 | アクリルに比べると劣る | 非常に高い |
| 耐衝撃性 | 割れにくく耐衝撃性が高い | 衝撃に弱く、割れ・欠けが発生しやすい |
| 耐熱性 | 約40℃ | 約70℃ |
| 材料費 | 比較的安価 | 高価 |
| 接合方法 | 溶接が可能 | 溶接不可、重合接着が必須 |
| 加工コスト・納期 | 溶接構造のためコスト抑制・納期短縮につながりやすい | 重合接着のため加工コスト増・納期長期化につながりやすい |
| 製作サイズの制限 | 比較的自由 | アニール処理を行う加熱炉を使用するためサイズ制限あり |
| 配管継手の種類 | 標準品が豊富で組み合わせやすい | 標準品がなく特注製作が必要 |
塩ビ(PVC)は、樹脂素材の中でも 材料費が比較的安価です。溶接による接合が可能であるため、加工コストも抑制しやすいです。さらに、標準の配管継手が豊富にあるため、特注部品が不要で、不要な部品コストも抑えやすいです。
塩ビは溶接による接合が中心のため、加工工程が少なく短納期での製作が可能です。一方でアクリルは重合接着が必要で、硬化やアニーリングなど、多くの工程を要します。
塩ビは、割れにくく耐衝撃性が高い上、溶接が可能で設計の自由度が高く、薄肉化しやすいといえます。実際に、同程度の強度を求める場合、アクリルと塩ビでは下記のような形状や板厚の違いが生まれます。
アクリルは磨けばガラスのような光沢が得られ、外観品質に優れています。見栄えを重視したいタンクに適しています。
アクリル(PMMA)は、樹脂素材の中でも 最高レベルの透明性 を誇ります。内部の確認が必要なタンクや、展示用途、視認性を求める機器には最適です。
三栄プラテックでは、塩ビをはじめとする各種樹脂タンクの設計・製作に幅広く対応しております。円筒タンク、角タンク、大型タンク、特殊仕様タンクなど、お客様の用途や条件に合わせて最適な材質・構造・加工方法をご提案可能です。「透明度を重視したい」「耐薬品性が必要」「コストを抑えたい」など、用途に応じた最適解をご提供いたします。